医療保険福祉審議会傍聴記
これを受け、両部会長へ一任の形で、審議会としての意見をまとめ遺憾であることを伝えるよう一致した。
議論を聞いている限り、各委員が2年間またはそれ以上に審議してきたことに対して、与党政策責任者があまりにも強引に、まさに審議会無視のやり方で押し通した事への怒りが収まらない様子であった。
また一方では、政治の前に良いように翻弄され、負け犬の遠吠えのようにならざるを得ない、審議会の力のなさに失望の感さえ見せた委員もあった。
いずれにせよ、選挙目当ての産物であることは明々白々である。亀井政調会長のいう本来ある家族愛に立脚した家族介護の大切さは言うまでもないが、介護保険を導入しても完全に家族が介護から解放されるわけではない。住み慣れた地域や家庭で在宅介護を継続するためには給付されるサービスの隙間はどうしても家族が埋めなくてはならないのである。
サービス給付を受けて、なおかつ家族手当などの支援策があるのならともかく、現金か現物かの2者択一で選ぶべきものではないのではない。まして一時的に目先の負担を軽減しても根本的には先送りでしかなく、それで選挙が勝てると考えているとしたら高齢者を愚民扱いしている。いま言われている問題は、なぜ2年前の12月の法案成立時にもっと深く審議をしてこなかったのか、国会議員の怠慢そのものではないか。
ドイツが実施までに20年近く議論を費やしており、導入は拙速ではないかと心配されたとき、法案そのものには参議院での付帯決議をはじめ全国で公聴会を実施し、国民の理解を十分得たと言っていたのではないか。現場で苦労している行政担当者や保健福祉の関係者は、何とかやらねばならないとその気になり、今まさにその直前というこの時期に「なぜ」という気持ちであろう。実施してからいろいろな問題や混乱が生じ、それを修正しながら良いものに作り上げていくと言うことがコンセンサスではなかったのか。
国民に一時的なアメをなめさせるより、払った保険料がどう有効に使われ自分たちの安心に繋がっているか、関心を持ってもらうことこそ政治家のとる道ではないのか(政治屋のとる道ではありますが・・)。地域振興券でみた愚策の追加は、ごめん被りたいものである。2年間、審議会の経緯を見続けてきた者として、各委員同様に「こんなん、ありでっか?やっとれんわ、え〜かげんにしい〜や」とあきれて開いた口がふさがらない。
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