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介護保険は在宅介護の理念を可能にできるか?
 
(H12.10.14更新)

  介護保険制度が施行されてから6ヶ月が過ぎた。
 この10月からは第1号被保険者の保険料徴収も始まり、負担と給付の構造が明確になり高齢者の関心も今まで以上に高くなっている。

  9月後半に近畿圏の自治体を20ヶ所ばかり訪問させていただいたところ、8月に保険料の決定通知を出しているところが多くあった。都市部では、通知後数日間は一部の人たちから「これは何のことか」「わしゃ健康だから入らん」「福祉施設が不正で摘発されているような現状では、そんな金は払わん」など、問い合わせや抗議の電話が殺到したものの、概ね大きな混乱はなく、窓口での説明でなんとか納得していただいているとのことであった。郡部では、苦情というより「どこで払えばいいのか」など納付に対する問い合わせなどがほとんどであったと聞く。いずれにせよ、高齢者への介護保険制度の周知はまだまだ十分とは言い切れないような現状である。

  また、利用実態では当初の介護保険事業計画の目標値より全体として利用は低く、特別会計上ではまだ余裕があるとのことであった。ただ、その内訳は大きく異なっており、在宅での処遇を見越していた利用者の予定数は目標を下回っているが、施設入所の利用者の予定数はすでに目一杯の利用があるとのことであった。特養の入所待機者も相変わらず多く、2年ぐらいの順番待ちになっている施設もある。措置制度における入所判定から施設の直接契約になったことから、ある子だくさんの高齢者は全国に散らばっている子供たちのところの施設入所を図り、複数の申し込みをかけているということであった。

 ある自治体では、本人ではなく家族の施設入所希望が多く、一度施設に入れてしまうとほとんどの人が在宅へ帰る努力をしなくなると嘆いていた。
 そのような現状を裏付けるように在宅関係の事業者が苦戦するなか、介護保険制度下での施設運営に危機感を持っていた介護老人福祉施設については、いざ制度がはじまるとほとんどの施設が、収入アップにつながっているのである。

  はたして介護保険は、「在宅を中心とした住みなれた地域で安心して暮らす」という理念、目標を実現しうるのであろうか。介護の社会化を目指し、超高齢社会への切り札となるべき制度が、単に医療保険の財源が介護保険の財源にシフトしただけではないのであろうか。

 今一度、介護保険の根幹から制度の見直しを進め、国民への周知と理解に努めるべきではないだろうか。今後の推移を注意深く見守る必要がある。


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