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介護給付の適正化、強化の方向   (2004.3.5更新)

 急増する介護給付費に対して、厚生労働省は各保険者において給付費適性化の取り組みを強化するよう指導している。厚生労働省の見解として、介護保険制度が定着する一方で、提供されるサービスについてその必要性、効果に疑問をもたざるを得ないものも多いという指摘のほか、事業者による過度の利用者の掘り起こしや不正請求等、不適正ないし不正な事例も見られるとしている。
 このため16年度には、従前より行われている市町村の一般施策ではなく、サービス利用の適正の確保と保険運営の安定化を念頭においてさらに適正化の監査強化を支援していくとのことである。具体的には、正確な介護サービス利用の状況把握、事業者からの介護報酬の請求状況の検証、不必要なサービス利用の抑制とともに市町村の介護予防との組み合わせや自立支援に効果のあるサービス利用への重点化などである。

増える悪質な返還請求
 昨今、介護報酬をめぐり、市町村から返還請求を求められる事業所が増えている。新聞報道によれば、市町村から返還を求められた不正請求額は約4年で25億円にも上っている。
 もっとも返還請求の多くは、単なる請求手続きの不備が大多数であるが、「療養型施設での医師数が不足しながらも過剰請求」、「特別養護老人ホームで管理栄養士が不在なのに減額をせず」、「通所リハビリで送迎時間をサービス時間に含める」など中には単なるミスとは言い切れない確信犯的なケースも紹介されている。
 また、取り消しを受けた悪質な事例として訪問介護では「架空請求、時間や回数の水増し」、「無資格者によるサービス提供」、「名義借り指定申請」、「人員基準違反」、「同居家族へのサービス」などが多い。居宅介護支援では「無資格者によるケアプランの作成」、「架空、不適切なケアプランの作成」、「名義借り指定申請」などが多くなっている。

不正給付の疑いのある事業者の抽出
 いま、各都道府県国民健康保険連合会(国保連)において、保険者等が介護保険給付費適正化のために活用できるよう、新たなシステムが構築されている。
 例えば、(1)1人のケアマネジャーが100件ものケースを担当している。(2)提供されるサービスがケアマネジャーと同系列の事業者に集中している。(3)機械的に支給額限度一杯のサービスが組み込まれていると思われるケアプラン。(4)介護給付と老人医療給付の突合による不正請求の発見(入院期間中に介護保険から電動ベッドの貸与が継続されている等)。など疑いのある事業者が容易に抽出されるということである。
 いずれにせよ、保険財源が乏しく、ますます給付費が増え続ける傾向のなか、一部の不心得な事業者の存在から、事業者性悪説の視点で指導、監査や保険給付の適正化への取り組みが厳しくなるのは間違いないようである。


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