専門性が問われる介護職の今後(2004.8.6更新)
−将来は介護福祉士が中心−
7月16日に行われた、社会保障審議会の介護保険部会で制度見直しの具体的な内容(案)が示された。
多くの論点のなかで「サービスの質の確保・向上」をみると専門性を重視した人材の育成と資質の確保が言及されている。
その内容は、これまで「量」の確保に重点が置かれていたが、介護サービスは「人が支えるサービス」であり、「サービスの質の確保・向上」のためには、介護サービスを支える人材の質の向上が不可欠であるとしている。
具体的には、介護職員は資格要件として、将来的には「介護福祉士」を基本とすべきであり、これを前提に現任者の研修も行う必要があるとしている。
特にホームヘルパーは、実働者約26万人のうち、介護福祉士資格を有するものは1割程度であり、そのほとんどは2級ヘルパーである。その養成過程においては、130時間であるのに対して、介護福祉士は1,650時間と10倍以上の開きがあるとしている。そもそも時間を見る限りではその専門性において明らかに違うとしている。その差を埋めるため当面は研修の強化により、資質の向上を図るべきだと指摘している。
今一度研修体制を見直そう
審議会で指摘されるまでもなく、現状の介護職の現任研修への取り組みはまだまだ不十分といわざるを得ない。ちなみに大阪府看護協会の短期研修をみると、年間を通じ老年、地域、精神、小児、がん、母性、救急、成人、感染症、リスクマネジメントなど多岐にわたっている。もともと看護師として国家資格を取得し現場にでてからも、勤務先の病院等に加えて、協会でも多くの短期研修カリキュラムが組まれている。専門性は当然違うので看護職とは安易な比較は出来ないが、130時間の研修を経て現場で経験から学ぶ介護職(ホームヘルパー)の現任研修のだけでは、やはり審議会の指摘はもっともな帰結と言わざるを得ない。
介護という仕事が、社会的にもより一層認められ、従事する職員も誇りと専門性に裏づけされた実力を持てるよう、現任研修のあり方が問われるところである。
そもそもスタートラインが高い看護職が更に日々の研修を積み重ねているのに対して、養成過程から促成栽培的なホームヘルパーの現任研修がおろそかにされている事業所がまだ多い。研修が全てではないが、研修のための研修ではなく、「サービスの質の向上」に向け、研修への取り組みを再考する時期が来ている。現業務体制の評価を下に各事業所においてその課題を抽出し、その解決策となる研修を計画的に積み重ねることが、介護職ひいては介護事業所の将来を決定付けることになるのではないか。
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