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形が見えはじめた介護保険制度の見直し (2004.10.4更新)

 介護保険制度の見直しについて、平成15年5月から16回の議論が重ねられ16年7月末には「見直しに関する意見」が報告されたところである。夏休みを経て来年の通常国会に改革案を提出することから秋口にはラストスパートの段階に入った。
  先ごろ開かれた17回目の介護保険部会では「被保険者及び受給者の範囲について」が審議された。

被保険者の範囲の拡大

 被保険者の範囲においては、以前から検討されていたように対象年齢を20歳まで引き下げる方向である。20歳まで引き下げると、現状の第1号被保険者、第2号被保険者の合計約6,805万人に対し、20歳以上40歳未満は3,497万人と現状の被保険者の約50%に相当する。その分給付の範囲も拡大し、現在支援費制度となっている障害者への統合が現実味を帯びている。もっとも2号被保険者と比べ負担が軽くなるよう保険料率などは半分程度に配慮される見込みである。
 介護保険、支援費のそれぞれの年間サービス費用を16年度予算ベース(事業費ベース)で見ると、介護保険は6.1兆円、支援費は0.7兆円と介護保険の約8分の1程度である。利用者数は介護保険が309万人、支援費が32万人と 約9分の1の規模である。利用者一人あたりの費用を見ると、在宅サービスでは介護保険(在宅)8.9万円に対し、支援費(在宅)は11.1万円となっている。施設サービスでは、介護保険(施設)35.4万円に対し、支援費(施設)は27.2万円となっている。

財政状況が安定するか
 20歳以上40歳未満の被保険者約3,500万人の保険料は2号被保険者の半額程度の徴収と考えられている。被保険者の範囲を広げた保険料の増収額は、2号被保険者の保険料の約半分と甘く見積もっても1兆円弱と思われる。現状でも0.7兆円で支援費が不足している状況では、確保しても、障害者等への給付拡大と相殺すれば、財政的にはあまり改善を見込めないのではと思われる。しかし、厚生労働省の示した考えでは、身体障害者の60%は高齢者で既に介護保険の対象となっており、新たに給付対象となるのは330万人の若年「障害者」ではなく、一部の難病患者や末期がんの患者などを含む37.5万人の若年「要介護者」としており、現状の支援費の利用者から急増するとは見ていない。
 つまり被保険者の範囲を拡大しつつ制度維持の可能性を図るが、給付増へは繋がらないように考えている。
 今後は、年末にかけて月1回のペースで開催され「給付と負担のあり方」、「取りまとめ」などを審議する予定であり、薄ぼやけていた形がはっきり、くっきりと示されるであろう。ますます目が離せない状況が続く。


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