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介護報酬改定から見えるもの (2006.3.3更新)

 前号に引き続き1 月26 日に開催された社会保障審議会「第39 回介護給付費分科会」で示された介護報酬・指定基準等の見直し案を概観する(詳細についてはWAM-NETに掲載)。
今回の保険給付に新たに創設される予防給付の対象である要支援T及びUは、120 万人。要介護1から5までの介護給付は、在宅130 万人+施設77 万人の207 万人と推計される。

 この予防給付(要支援T、U)の120 万人分のケアプランは、基本的に地域包括支援センターが作成する。外部への委託も可能とされているが、ケアマネジャー1人当たり8人と上限が設定されている。少し乱暴な試算ではあるが、現在、居宅介護支援事業者は約32,000、そこで従事するケアマネは約6万人といわれている。もしこのケアマネ6万人に予防給付のケアプランを委託すると、約50 万人(6 万人×8 人)分の作成が可能となる。120 万人からこの委託の50 万人を除く残りの70 万人は、市町村の直営が多くなりそうである地域包括支援センターが作成することとなる。地域包括支援センターの整備が6,000 か所程度であり、単純に計算すると1か所当たり100〜120 人の作成をすることになる。現時点では、地域包括支援センターで配置された保健師でこの数のケアプランが作成できるかが課題となっており、急遽、保健師の増員などの対応に追われ現場は少なからず混乱が生じている。

 一方、委託を受けるつもりであった居宅介護支援事業者のなかには、ケアマネ1人に対し8人の上限に加えて、1プランの介護報酬が400 単位では引き受けを躊躇するところが出ている。

 もっとも、400 単位は地域包括支援センターの請求分であり、委託を受ける事業所への契約額は400 単位にいくばくかの上積みをしての契約となるか、あるいは400 単位の範囲の中で抑え300〜350 単位程度になるかは、ケースによって異なることが想定される。いずれにしても委託を受ける事業者にとっては、やや期待はずれの報酬であったようだ。さらに、その事業者が今回の改正で創設された特定事業所加算(500 単位)の獲得をめざす場合は、地域包括支援センターからの委託を受けることが出来ないなど、委託を積極的に受けるべきか、断るべきかという判断に苦慮するという意見が多く聞かれる。もっとも、委託の場合、委託先の選定は既に終わっているところが多く、報酬が具体化した今となっては、その条件の詰めの作業中であろう。

 いずれにせよ、今回の改定ではこれまでの確保できていなかったケアマネの「中立・公平性の確保」の具現化を図るものであり、その結果ケアプラン難民が生じ、要支援T、Uの高齢者にしわ寄せが行かないように今後の経緯に十分注意を払う必要がある。


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